最遊記RELOAD

 Yahoo!動画で「最遊記RELOAD」が無料配信中。最終話(25話)まで配信になり、全話(うら最込み♪)観てきましたが。(そして、早くも「最遊記RELOAD GUNLOCK」も配信開始!)原作は当然、アニメも「カミサマ」の辺りは最高でした!(ってか、カミサマが浪川さん声だったのを観ていてようやく思い出した;;)

 沙悟浄が一人、一行を離れる下りも好きなのですが、カミサマの最期が何よりクるですよね。(じ〜ん)アニメでそのシーンを観ていて、以前原作のカミサマ編が終わった辺りでカミサマとセンセイの超短編小説を書いたのを思い出したので、再掲します(←以前携帯サイトにアップしていたモノの誤字脱字を直した程度;;)
 ではでは。

「さよならの準備」

君よりもっと丈夫で楽しめそうな玩具を見つけた。


「だから君とは今日でサヨナラ。」


最近一番のお気に入りのウサギのぬいぐるみを撫でながら告げた僕に、君は「先生は新製品に目が無いものね」って微笑んだ。
「この世に神様っているって思う?」って訊ねた僕に、君は「神様?僕には先生が神様だよ」って本気で応えるから。
「じゃあ、今日から君が神様。此処にあるお城も、玩具も全部君にあげるよ。僕の全てを君に譲るんだ。だから今日から君が神様。」


もし君が「神様なんて居ない」って言っていたら、僕はあの時に、この手で君をこの世から消し去ってあげたのに。
「有難う先生、大切にするね。」
足元の壊れたけん盤ハーモニカを拾い嬉しそうに両手で掲げ、思い出したように、
「…ねぇ。離れていても、僕は先生と繋がってる?」
って訊ねる。
「どうかな。僕は薄情だからね。判らないよ?」
「なら、先生、ゲームをしようか?」
「面白そうだね」
君は僕のたった一人の弟子。不出来な弟子。僕なんかを本気で尊敬してしまった哀れな弟子。だから君のゲームに付き合ってあげる。
っていうより、僕は単なるゲーム好き。


「僕が世界中の人間の魂を玩具に変えちゃうゲーム。ゲームが続く限り、先生は僕のこと忘れちゃ駄目だよ?」
君はちょっとだけ寂しそうに微笑む。やがて来るサヨナラを予感してるみたいな…笑顔。
「狡いなぁ。君が負けることなんか無いよ。だって君は神様じゃなか。」
「うん…そうだね」
「ああ、でも。もし君が負けたら。その時は、僕が君にあげたモノ、全部取り上げちゃうよ?」
玩具に頬擦りしながら目を伏せる。


「…あの子、来るかな?」
「誰?」
「あの子。」


「…来るんじゃない?」
「勝てるかな、僕」
「負けたら終わりだよ?」
「…だよね」


新商品が好きな僕。使い捨ては基本でしょ?そんな僕がずっと側に置いていた君。
その意味…分かってる?
だけど僕は薄情だから。世界を巻き込むような遊戯を見つけてしまったから。君とはバイバイ。
じゃぁね、って背を向けた僕を「ねぇ、先生」って君は引き止めた。
「何?」
振り向かず訊ねた僕に、
「…なんでもないや。」
君ははにかむ。貧民窟で拾った頃と同じ瞳。


君ハ僕ニ何ヲ求メテルノ?


やがて時は過ぎても。僕は飽きない遊戯の真っ最中。
君のゲームも見ていて楽しかったけれど。小さなお城さえ玩具で一杯に出来ないうちに、あっさりゲームオーバーとは、ちょっと肩すかしだね。


崩れる城の中で、
「ねぇ…先生、教えて」
「ん?」
「神様って居るの?」
あの時僕が君に訊ねた問いに、
「いないんじゃないかな。」
僕は答える。
神様なんて居ない。君だってファイクだったろう?神様なんて全部フェイク。偽者だろ?だから君が崇めた神様も、やっぱりフェイク。
「…よかった」
そう微笑んで旅立った君。
今頃はきっと本物の神様の膝元に行き着くんだろうね。


君を飲み込んだ瓦礫の上に立つ。


どおして僕が君に名前をあげなかったか判る?僕達には必要なかったでしょ、固有名詞なんて。
君は僕で…君は僕…。


END