ハルカ炎天の邪馬台国、感想!

 前作ハルカ 天空の邪馬台国の続編ということで、前作をおさらいしつつ発売を待ってました★
 前作の感想で「伏線が伏線のまま終わってしまっている流れもあるので、次回作で解消されていくのかな、と思っています。」と書いたのですが、その期待通りのストーリーでした。
 以下ネタバレありです。




 ハルカと張政が現代で再会し、直後三世紀時代の戻り、時空移動を重ねながら最後は現代で最終決戦!と舞台に動きのある展開で、張政というひとりの男の子の一人称で進んでいくストーリーの地の文章も入りやすく、また張政の感情も「ヲイヲイ、大丈夫かよ?」と突っ込みを入れつつも理解しやすかったです。
 三世紀の戦いの舞台となった「行島(=来島)」や花乱・花連の植物で溢れる国の情景や、私にはあまり馴染みのない四国九州の風景も浮かんできました。もしも、ゲームになっていたらどんなに美しいグラフィックになっていただろうと、思ってみたり。
 けれど、今回残念だった部分として主人公である張政があまりに活躍していない(笑)そして数少ない活躍シーンの背景がどうしてもイメージとして浮かんでこなかった。自分が日常経験していないモノをイメージするのは難しいのは判っているので、その分イメージを強烈に与えてくれる文が欲しかったです。
 全編を通して思ったのは、やっぱり桝田さんの書かれる女性は素敵だ。どのキャラにも愛嬌と強烈な個性がある。その個性を好きになれるかどうかは別に存在が伝わってきます。
 「体育2の走り方」とか、笑い方が「ぶフフフ」だとか。くりかえし使われるフレーズってそのキャラクターを伝えるのに大事だし、そのフレーズの使い方にセンスが出るのだと思います。(キャラクターを表すフレーズを何度も繰り返す手法は田中芳樹さんも使っていた…はず)
 特に桝田さんの戦う女性が好きです。キララや熊虎よいです♪さっぱりした性格で度胸もあって、でも女らしさを失っていないのってある意味憧れの人物像ですよ。
 今回ハルカの台詞でもっとも桝田さんらしいなぁ〜と感じたのは「あえて言えば、正義の味方!」でしょう。


 前作と比較し、今回はあまり戦っている、人の命が失われているという感覚が薄かったように思います。ハルカや張政ではなく周りが動いている感じ。そこは残念でした。(主人公二人のイチャコラ度も下がってませんか??)
 脇キャラ(特に生き返ったキャラ達)のその後は…受け取り方それぞれでしょうね。全てが大円満が好きな人もいれば、そうでない人もいるように。
 最後は時代を現代にもってきた時点でなんとなく想像した終わり方でした。ファンタジー小説の舞台を現代にした場合の難しさを見た気がします。大勢の人を殺しっぱなしとか、異人種(亜種)の存在が判ってその後戦ったとか分かり合ったとかで終わったら……今一ですもんね。
 個の命よりも命の繋がりを見据えた世界観のように感じました。


 グダグダ書いてしまいましたが、結局「面白かったのか?面白くなかったのか?」と訊かれれば「面白かった!!」と声を大にして応えます。
ちなみに前作の感想はこのあたりに。→http://d.hatena.ne.jp/xkonnox/20070321/p1#c1226104913

ハルカ 炎天の邪馬台国

ハルカ 炎天の邪馬台国

 そして最後までこだわるのがMadara―魍魎戦記摩陀羅 (1) (角川コミックス・エース―田島昭宇MADARA完全コレクション)。内容も世界観も全く違うのですが。今回花乱が半身失って緑の液体の中にという部分や時空の話で「………」 逆に何を読んでもどこか似てる気がするってのは、実は凄いのかもしれないというか、そういう作り方をしたようなことを作者本人(大塚さん)が言っていた気もする。