エデンの命題レビュー

クローン問題と宗教。そして、脳や精神の障害。
様々な問題を盛り込んだ2編は作者からの現代社会への問題提起を強く感じた。

「エデンの命題」 特権階級の人間が自分の臓器のスペアの為にクローンを造り、そんなクローンだけのコミュニティと作るといった部分は既に使い古されたネタだと思ったが、そこには島田氏ならではの一ひねりがされていた。
旧約聖書解釈の新説については、興味深かったが、それがラストに十分生かされていなかったように思う。
ヘルター・スケルター」 脳のミステリーを物語として十分に楽しめた作品。脳の障碍と犯罪。
作品としては読みやすく、人としての人格(心)とは何なのかを考えさせられる作品でした。