一期一会

 私がレイモンド・チャンドラーの作品を読み始めたのは、作家:花郎藤子さんの影響だ。
 偶然手にした花郎さんの同人誌でのエッセイ(もしくはコラム)。その中に、レイモンド・チャンドラーの名前が出てきた。ご自身の文体がレイモンド・チャンドラーの作品を翻訳されている清水氏の影響を受けているかのかもしれない、という内容だった。
 それで興味を持ち、全作品を読み、アンソロジーとも言えるフィリップ・マーロウの事件 (ハヤカワ・ミステリ文庫)をも読んでいる。
 ハードボイルドにカテゴライズされる作品はチャンドラーしか読んだことがないが、ある意味それが良いとすら思っている。
 日本の「怪人」と対決する探偵とは違う。(それはそれで私もこよなく愛するところだが)
 コンクリート社会の粉塵っぽさや銃社会の硝煙臭さ。ハリウッドの光と影。それに洒落た文体が眩暈が感じられるほ鮮やかに感じられるチャンドラーの世界。


 もし、チャンドラーの作品から得られるものが無くても、あなたが失うのはほんの数時間の余暇だが、得るものがあるならば、それは一生つきまとう財産だ。長いお別れ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-1))さらば愛しき女よ (ハヤカワ・ミステリ文庫 (HM 7-2))大いなる眠り (創元推理文庫 131-1)