小説を書いてみる

 なんて。朝ぼんやりと思い浮かんだ文章を久しぶりに書き連ねてみる。

−−2対の目玉が、嘲笑うように私を見上げていた。


世界の終わりを知らせるように、今朝もけたたましい目覚まし時計のアラームが鳴る。
そんな音でなければ、世の大半の人間は起きることが出来ないように出来ている。
どうせこの世の終わりがくるなら、このままそっと眠らせておいてくれと毎朝思うのも習慣だ。
そんな私よりも数十分前に起きてちゃんと化粧をして朝食を用意してくれる妻は、それだけで尊敬の対象になりえる。


挽きたてのモーニングコーヒーとマーガリンがたっぷりのトースト。
サラダともう1品(多くは卵料理だ)と妻の笑顔が待つダイニングに向かった私を出迎えたのは、ステンレスのボールの中に割られた4つの生卵だった。
どうやら今朝のもう1品も卵料理で、卵焼きかスクランブルエッグになるはずだったようだ。


コーヒーメーカーにはコーヒー。
トースターにはトースト。
サラダボールにはレタスとトマト。
そして、2対の目玉。
けれど、肝心の妻がいない。


こんな朝早くから何処に出掛けたのだろう?
疑問に思いながら、ダイニングテーブルの定位置に座る。
4脚ある椅子の、冷蔵庫から見て奥の左側。


カチャリとドアが開く音と共に、私同様、朝こそ親の敵のような顔をした青年がダイニングに入ってきた。
「おはようございます、郁人さん」
「おはよう、清司くん」
妻の遠い親戚の彼が一緒に暮らしはじめたきっかけを、私は今でも正確に理解していない。
けれど、何事にも動じることのない実年齢以上に落ち着いた物腰と、妻とどことなく面差しの似た、普通は性格に使われる「竹を割ったような」さっぱりとして精悍な容貌の彼と暮らすことは何の苦にもならず、未だ子どものいない私たち夫婦にとっては丁度良い第三者ですらある。
「雪子さんは?」
「それが見あたらないんだ」
「失踪?」
目覚ましのアラームよりも心臓に悪い一撃。


ちなみに、続きません(笑)
思考の発端はMADARA天使編「麒麟」麒麟が卵焼きを作るのに何個卵を割って良いのか判らず、1パック全部をボールに割ったのを犬彦が「6対(12個)の目玉が 云々…」って言ってるシーンを思い出したから。
そこから「2対の目玉が」ってフレーズが浮かんだのだけど、2対=卵4つ。夫婦(二人)で食べるのにはちょっと多いな(夫2個、妻1個でも1個多い)と思い、浮かんだのが同居人。どうせなら大学生か大学院生位の男の子がいいと考えたのは単なる好み。
さて。雪子さんは何処に行ったのかしら。多分、郁人と清司は彼女を捜すうちに訳の解らない事態に巻き込まれるんだよ。例えば、ポストに突然拳銃が入っているの。驚き慌てふためく郁人をよそ目に、「これ、22口径ですね。護身用で人を殺すための道具じゃない」なんて清司は淡々と銃を観察してそう。
そんな続きのないストーリーをぐるぐる考えるのが、通勤時間の主な過ごし方。(但し目は本の活字を追っている。我ながら器用;;)